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木村伊兵衛に付いて好き勝手にほざいてみる その1

2011年01月04日 00:00

「縁日」

縁日

Contax RX, Planar85mmF1.4

※ブログに視覚要素を加えるlightboxを導入しています。上記画像をクリックすると少し大きな画像をポップアップして見る事が出来、暗くなった部分をクリックするか、画像下部のCloseをクリックすると元に戻ります。また複数枚の掲載の場合、写真上の左右をクリックすると画面が遷移します。



昨日の記事を踏まえ、木村伊兵衛はホントに凄いのか?、好き勝手に考えて行きたいと思います。但し、あまりにも文章がが長く、切りの良いサイズに分けて5日間くらい掲載して行きます(笑)。

あくまでも主観ですが、木村伊兵衛の写真、郷愁は非常に感じるのですが、どうしても凄い写真であるなる感情が全く芽生えてきません。木村伊兵衛ファンを敵に回してしまいそうですが、どうも氏の写真は「アマチュアの道楽写真」、そんなイメージをどうしても持ってしまうのです。

良く酒の席でカメラマンが集まると「木村伊兵衛って、あの時代に家を一軒買えたと言われているライカを持てた事が凄いだけで、当時、写真を志そうとしてライカを入手出来たら、どんな人間でも木村伊兵衛になれたに違いない」、なんて偉そうに語り合ってしまう訳です。

周囲は私も含め、昭和の後半の生まれですから、木村伊兵衛が最も輝いていた時期を知らない連中の集まり、根っからの写真好きであっても意外と反論が出なかったりもするんですよ。

そこで今回、果たして木村伊兵衛は凄いのか?、これを検証してみようと思ったんです。木村伊兵衛について書かれた書籍は仰山ありますが、敢えてそれらでは調べない。そりゃぁそうです。多くが木村伊兵衛の弟子だったカメラマンや、仲の良い評論家の執筆ですから、提灯持ち、良い事しか書かれていません。

そこで偉人の悪口を簡単に見つける事が出来るインターネット、情報は全てここから入手、それである程度、客観的に検証が出来るのではないか?、そう思ったんです。

ところが「帯に短し襷に長し」と言う言葉がありますが、インターネットの世界とは「帯に短し襷にも短し」なところがありましょう?。海外のサイトは良く知りませんが、有用な情報はほとんどありません。著作権で保護されているのでしょうが、写真に関する学術的な文献を、まず見つける事が出来ません。いきなりの挫折。

東京都写真美術館辺りのサイトで、ちょっとした写真史的な文献でも見つからないかとチェックしてみたものの、お粗末なサイトでしたねぇ。少なくとも日本の場合、この文章もその一つですが、素人が好き勝手に書いているに過ぎないのが多いんです。

良く外国のアクション映画で、主人公がインターネットに接続して、重要な情報を入手したりしますが、一般人の我々、特に日本は有料のデーターベースサービスに加入していない限り(もしくはハッカークラスの知識がない限り)、プロフェッショナルの文献を見つけるのは難しいと考えて良いのでしょう。

数年前に、大学の卒論において、インターネットの文章をそのまま引用する学生が多い、そんな問題がありましたが、こうやって木村伊兵衛について調べているうちに、インターネットに氾濫している如きの文章をコピーしたくらい内容の浅い卒論、一体どんなものだろうか?、ちょっと興味が沸いちゃいましたねぇ(笑)。

そこで観点を変えてみたのです。まず木村伊兵衛と言えば上述した「ライカ=家一軒」について。日本の物価指数、その辺を調べれば解明出来るでしょう。そして当時の物価が以下のようである事を知りました。

1930年前後の1円は今の4千円に相当し、教師の初任給は50円だった
1930年代のライカバルナックの値段は420円
1933年の銀行員の大卒初任給70円
1938年の家賃は13円

これらを考慮するとライカは超エリートの大卒初任給の6倍であった事が判り、現在は大卒初任給の平均が約20万であるから、1円が今の4千円、そして超エリートの6か月分と考えると150~180万円程度の価値であると考えて良いでしょう。

420円のバルナック型のライカ、これがレンズ付きか否かが現時点では不明ですが、現在のカメラに置き換えると、Pentaxの中判デジタルカメラ、645Dが80万円、これの2台分以上に相当するのだから、かなり高価なカメラであった事は確かでありましょう。

ところが、ライカの現行のデジタル一眼レフであるSシステムであるS2本体の価格はおおよそ300万円との事で、これに数本のレンズを組み合わせると500 万円、またハッセルブラッドの最新のブローニータイプのデジタル一眼レフのお値段が500万円くらいだったと記憶しますので、そうなると木村伊兵衛が420円でライカを購入したのだったらそれらよりも遥かにリーズナブルであった事になります。

「ライカ1台で家が一軒建つ」・・・。当時の420円は今の200万にも満たないのですから、地方でも材料費にも足りないであろうし、中古物件を購入する事も不可能でしょう。最新のライカデジタル一眼レフやハッセルのデジタル一眼レフ、これでやっとの事で、地方の中古物件が買えるくらいではないでしょうか?。

当時、家一軒は一体幾らだったのか?。大都市と地方とで異なりましょうが、昭和13年の平均的家賃が13円、これを現代の価値に換算すると(4千倍)なら5万2千円、これは都内なら少し不便な地域の1Kクラス、地方なら2DKクラスであろうから、かなり正確な値段だと判断出来ます。

となると現在の建築費用を4千で割れば当時の家のおおよその価格を示せる事になり、一般的4DKクラスの木造2階建て1軒家の建築費、安く見積もって1千万円くらいでありましょうか?(最近700万円で家が建つなる工務店もあるようですね)。ならば2,500円となり、ライカを6台買って初めて家一軒分のプライス。「ライカ1台で家が建つ」、調べた情報が正しかったとすれば、この噂は嘘と結論付ける事が出来ます。

彼がライカを使い始めたのは20代後半のようです。ここで木村伊兵衛伝説が1つ消える事になりました。家を買える値段でライカを買ったのでなく、現在で言えば1500cc~2000ccクラスの小型乗用車を買った程度の出費だからです。ちょっとした道楽者だったらそれくらい平気でお金をつぎ込むでしょう?。

むしろ21世紀の現在、バブルが崩壊し、今はリーマンショックで働き口が無く、カメラマンなんて掃いて捨てる程いる、そんな時代、20代の青年がライカやハッセルの最新デジタル一眼レフでおおよそ500万円を出費し、プロを目指す方が凄いようにも思えます。

勿論、当時の日本を考えると、道楽に勤しむ者なんてほんの一握りの人間だけで、今我々が小型自動車を買う心理とは全く異なりましょう。それを加味すれば、あの時代、ライカを持った木村伊兵衛は凄い、これは正しい評価かもしれません。

恐らくこれを現代に置き換えると、そこそこのボンボンが、突然、「僕は将来レーサーになる!」と宣言し、レースカーを買ったようなものなのでしょう。「木村伊兵衛は鈴木亜久里である」、そんな喩えは如何でしょうか?。


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コメント

  1. 按摩大王 | URL | M6B49AbY

    冒頭あたりの『あくまでも主観ですが・・・』

    『御意!』
    まったくその通りだと思いますね、『旦那の道楽』だとしか思えません。
    でっち上げられたヒーローみたいなものだと感じます。
    実際、冷静なる方々はそう見ていると思いますよ。
    そもそもライカ信仰みたいなものが有る事自体おかしい。
    アマチュアはボックスカメラでも充分なのだ。

  2. 按摩大王 | URL | M6B49AbY

    アマチュアはボックスカメラでも充分なのだ。・・・・について

    物のない時代、カメラなど町内に一台あるかないかの時代
    写真館が繁盛した時代
    その当時ならば・・・ってことですよ。

    『ちょいとそこの旦那っ!伊兵衛さん、伊兵衛さんの事ですよ、
    いちど国産子供用カメラで写真を撮ってみ!
    当時は色々トイカメラがあったが、TOYではなく子供用と呼んでいた。
    玩具とさえ言わなかった。

  3. BigDaddy | URL | -

    > 按摩大王 さん

    木村伊兵衛が道楽者だった、これは間違いないのでしょうね。また、それを生業にした、ここが氏を賞賛するポイントなのでしょうかね。好き嫌い、好みの問題もありましょうが、よく氏と比較されるブレッソンの方が写真として洗練されていたのではなかろうか、そう感じます。

    日本の写真文化の礎、貢献した事は間違いないですし、写真で戦後の歴史を語る上では必要不可欠な人物でしょうが、写真のセンスで言えば・・・、でっち上げられたヒーロー、言い得て妙だと感じました。

  4. BigDaddy | URL | -

    > 按摩大王 さん

    ボックスカメラ、そういうものがあるのは知っていますが、見た事はございません。国産で知っている古いカメラと言えばフジペットと、各メーカーの二眼レフくらいなんです。調べてみると、なるほど、本当にボックスなんですね。

    「写真館が繁盛した時代」、まさにこの言葉に集約されるのかもしれません。しかし不思議なのが、プロ、特に作家系の人達が木村氏の悪口を言えないのは判るにせよ、アマチュアでもインターネットで見る限り、木村氏の悪口を言っている人が少ない点です。

    ですから、私の写真を見る目はお子様レベルなのか?、世間の常識と私の常識がずれているのか?、そういう疑問から発生したこのネタでした。

  5. 按摩大王 | URL | LykJ7J7M

    ドモケンはどうでしょ?

    土門拳も木村伊兵衛とはジャンルは違うが上手いとは思わない。
    ユージン・スミスの影響(カブレも含む)か公害被害写真に
    のめりこんだみたいな感じ。しかも車椅子だから同情をかう。
    のめりこむってのはプロじゃない。 なんでも程ってものがある。
    木村伊兵衛大先生は写真界の古賀政男みたいな存在じゃないかなぁ。
    木村伊兵衛がライカかを使うと言うことだけで皆さまは
    ヨイショ・シンドローム(別名 ゴマスリ症候群)に成っていたのでは?
    ライカも罪作りなカメラだなあ~
    ・・・と魔界2丁目あたりでは皆そう思ってんですが。

  6. BigDaddy | URL | -

    > 按摩大王 さん

    木村伊兵衛は受動、土門拳は能動、そんな気がします。そして能動の方が写真としての力が強く、私個人は一部の傷痍軍人など、弱者ばかりを撮影した写真を除き、木村伊兵衛よりも好きな写真が多いですかね。

    ユージン・スミスはリアリズムを排除していたなんてどこかに書かれていて、ならば本来はリアリズム主義の土門とは全く違った作風の筈ですが、やはり土門拳の絶対非演出の絶対スナップってのは疑問に思います。本文にも書いていますが、彼は絶対演出者だと思うんですよね(笑)。むしろ被写体に対して受身に見える木村伊兵衛の方が絶対スナップって気もします。

    ヨイショ・シンドローム、これは現代でもあるのでしょうね(笑)。私の感性が中途半端なのかもしれませんが、特に最近の木村伊兵衛賞って何か違うなと感じます。なんか写真界のモンドセレクションのような・・・(笑)。

  7. 按摩大王 | URL | W46BnpsA

    暗黒面

    もはや「おはよう御座います」の時間です

    ある世界でタブー的な面(ジョージ・ルーカスは暗黒面と呼んだ)を
    作る(作られる、作らせる)のは良くないです。
    歌舞伎、茶道、華道、大相撲などのように閉鎖的では駄~ぁ目~ぇ
    と思いますね。
    ただ己の立場を安全にしておくために本音を言わないのはズルイしイヤシイ。
    写真は字の通り真を写し撮るのですから評価も真を出すべきですよね。
    カメラがユーザー無視の押し付けスペックが多いように、作品も
    「オマイラ、これが秀作と言うものだ。手を合わせてよっく見ておけ」じゃ
    白けちゃう。パソコンゲームでも何でも日本人はすぐに神様を祀り上げる。
    やだなあ~ やだなあ~ 
    127フィルムの再生産を願いつつ早朝睡眠に突入しま~す

    『写真界のモンドセレクション』発言 … オオウケ! 国民ええよ賞に推挙
    (プロ、セミプロ、写真雑誌業界は否定的なれど圧倒的多数のアマチュアは支持)

  8. BigDaddy | URL | -

    > 按摩大王 さん

    海外は知りませんが、日本の写真界って師弟制度がまかり通る、そんな業界なのではないでしょうか?。歌舞伎、茶道、華道・・・、これらの閉鎖的な世界もやはり師弟関係で縛られていますから、そういう世界では言っちゃいけない、やっちゃならない事が多々あるのでしょうね。

    これだけ写真人口があるんですから、一人くらい「木村伊兵衛を反面教師にしよう!」なんてタイトルの書籍を出せるカメラマン、出版社があっても良いとも思うんですけどねぇ。人ってスキャンダルとか有名人を斬るのが楽しくてしょ~がない種なのですから(笑)。土門拳の悪口を叩く人は多いけれど、それが書籍になる事はないようですし。また木村伊兵衛の悪口を言う人、インターネットでも見つけるのが困難、これは氏が本当に神なのか?(笑)。

    Canonの写真新世紀の受賞者は概ね、良い写真撮るなぁと感じるのですが、写真界のモンドセレクションの木村伊兵衛賞の受賞者は・・・、特にここ10年くらいの人達の感性が全く理解できません。私がトレンドから外れているのか、本当に単なるモンドセレクションなのか・・・。

  9. 按摩大王 | URL | W46BnpsA

    おおお、こんなブログが

    こんなの見つけ…
    http://ameblo.jp/studiofpuls/entry-11434139442.html
    そこには、木村伊兵衛は日本のアンリ・カルチェ・ブレッソン云々。


    このブログにイチャモン付けるわけじゃないけれど
    ちゃいまっせぇ! じぇんじぇんちゃいまっせぇ  
    アンリのは絵にハートがある。ちゃんと絵になっている。プリントもマトモだ。
    作品も伊兵衛のはただの流し写真、物語がない。 
    やっぱりタブーなのか、伊兵衛否定=「触れては成らぬ未熟者っ!」って構図が
    あるのか?  あるみたい。 なんじゃい!
    そもそもアンリと伊兵衛とは月とすっぽんの違いあり。アンリもびっくり! 
    【私信コーナー】
    古いニッコールH 50mm f:2のピント用へリコイドがスカンスカンになった。
    ニコマートに付いていたやつ。アメリカで買ったのでNIKKORMAT FTn。
    国内販売モデルNIKOMATと名前が違うです、ニッコールマットFTnです
    修理する技がないからどこかに出さねば…。 
    ボディーのほうは新品時から一度も故障なし。私みたいに素直。
    問題は電池。
    水銀ボタン電池はもうないので1.5VをASAで調整。
    今で言うISOを一段下げるわけです。ISO400 は ISO200へと。
    この作業爪が痛い。
    私にとって新しい部類のカメラです。あとはカメラ生産撤退の東京光学品や
    他1950年代のものばかり。
    そのうち死んだら閻魔様に灰色の44判二眼レフを手土産にしようと思ってます。
    閻魔大王の子分に按摩大王 毎日肩をもまされるだろうな~ 
    それより入門試験に合格するだろうか? 閻魔様は漢字にうるさいらしい。
    『バラの木の枝にクモの巣、向こうにかげろうが…』を漢字で書けとか。
    閻魔様の子分(餓鬼)の手配で伊兵衛氏に会わされるかも。
    「貴様ぁ本人(伊兵衛氏)の前で言いたいことズバッと言うてみ」な~んて。
    言ってやろうじゃんか ライフとアンリの写真集もってこ
    では 

  10. BigDaddy | URL | -

    > 按摩大王 さん

    ブレッソンにあまり詳しくはありませんが、私は西洋被れのところがありますから、伊兵衛とブレッソンどっちが好き?、と問われたらそりゃぁブレッソンと答えますが、客観的に見て、ブレッソンの方がポートレートに近い、より撮影者の意思が入っているように思えますねぇ。イコール写真1枚1枚に強さを感じるとでも言いましょうか、むしろ土門拳や植田正治の方がブレッソンに近い気がします。

    トプコン!、私持っていましたよ、つい数年前まで。RE200に50mmF1.7だったか55mmF1.8と言う普及タイプですけど。完全に壊れてしまって、ジャンク扱いでサンパックのストロボを買う足しにしちゃいました。

    私個人は今のところデジタルカメラ万歳人間なのでフィルムカメラに戻るつもりはないのですが(戻るのだったら6x6)、宝くじがあたったらコレクションしたいフィルムカメラは仰山あります(笑)。とは言え1950年代のカメラは全く知らない存在です。

  11. 按摩大王 | URL | W46BnpsA

    錆 特に鉄の錆

    建物やレール、機械、古い工場などの錆びた鉄部が好きなのですが
    錆ってカラーでもモノクロでも味わいが有り好きです。

    そうそうTOPCONはミラー部に露光計測の工夫があったですね。
    欲しかった。手に入れたのはTOPCON PRってレンズシャッター物でした。
    あのカメラ今どこで、どんな方の手に?既にゴミとして処分されたか?
    デジカメのモデル進化が異常に早いので困りませんですか?

    では良い週末を!

  12. BigDaddy | URL | -

    > 按摩大王 さん

    鉄を中心とした金属は光り輝いていても、錆で朽ちても味がありますよね。古い工場や古い橋脚などは、本物のレンガに錆びた鉄骨だったりと、もう身震いしますよね。モノクロでも勿論十分表現出来ますが、私はやはりカラーでしょうかね、しかも赤茶をあまり強調せず、シアンを加えて退色させたような色合いに仕上げるのが近頃のブームです。

    デジカメの進化、これは意志ですね。幸い、Pentax K-5は欠点も多いですが、出ている絵には現状満足しており、満足している間は機材を加えない、それを徹底していれば気になりませんです。

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